産後うつを完全に防ぐことは難しい場合もありますが、リスクを減らす方法や、早めの対処によってかなり軽減することができます。
自分のためにも子供のためにも、産後うつを防ぐための具体的なアプローチを紹介します。
これを見れば神経質になりすぎているかな?頑張りすぎていたかもといった心の緊張が和らぐはずです
産後うつにならないために
手抜きしていい

すべてを完璧にこなす必要はありません。
おむつ交換や授乳、離乳食など赤ちゃんの健康や命に関わることは大切ですが、家事まで完璧にこなそうとすると精神的にも肉体的にもハードルが上がります。
手の抜ける部分は手を抜き、家族に任せられる部分は任せましょう!
「がんばりすぎない」心の準備をしましょう
赤ちゃんのお世話も「完璧にできる必要はない」と思っておくことが大切です
泣いたらすぐに駆けつけなくちゃ!おむつも汚れた瞬間に替えないと!とキツすぎるルールに縛り付けず(もちろんそのまま長時間放置はNGですが)ほんの数分、トイレに行ったりお菓子をあと一口食べたり…赤ちゃんも待っててくれます
「母親だから〇〇しなきゃ」は手放してください。
出産前から、「助けてもらって当たり前」というマインドを育てておくと◎。
身体が資本!全力で休む
疲れたら無理をせずゆっくり休んで、体力と気力の回復を図りましょう!
甘いもの食べたり美容室に行ったりと、好きなことをして自分にご褒美をあげます
自分の機嫌は自分でとる気持ちでいられるといいですね
ときには、育児を家族に任せて、友達と会っておしゃべりをするなど、楽しい時間を過ごすこともいい気分転換になります。
人に任せる
家事は夫や親、家事代行に頼むことも考えましょう!
疲れているときはお惣菜や外食で済ませたり、買い物は夫のいる休日にまとめ買いをすると負担が減ります
掃除は時間と体力に余裕がある時にするようにして、赤ちゃんの健康に影響を及ぼさない程度の清潔は保てるようにしてくださいね
家族の協力は欠かせない子育ては夫婦の共同作業です。
協力し合いながら育児をすると親も子どもに育てられるということを実感できるはずです。
夫・家族・友人・助産師などに「お願いする」「話を聞いてもらう」習慣を持つのも大切
誰かに話すのは…と思う方はメモに書き出してみましょう
言葉にすると心の中が整理されますよ
家族へお願いするときのコツ
「察して」ではなく、「〇〇をお願いしたい」と具体的に伝える。
例えば、「30分だけ赤ちゃんを見ててほしい」「今日はごはん作るの無理だから、何か買ってきてくれる?」など
産前から「どこに頼れるか」リストアップしておくと安心です。
産後ケアや一時保育も検討してくださいね
頼れるものには頼りまくりましょう
おかしいなと思ったら
早めに相談する
自分の状態に気づきにくい場合も多いため、「心のチェック」を定期的にしましょう
以下の状態が続く場合は産婦人科・保健師・精神科に相談をしてください
次に一般的に使用されている産後うつチェックのための質問表がありますのでセルフチェックしてみてください。
EPDS(エジンバラ産後うつ病質問表)
過去1週間のあなたの気持ちについて、最も近いものを選んでください。
質問は10個です
当てはまる答えの右側にある点数を足していってください。
①笑うことができたし、物事の面白い面もわかった
- いつもと同様にできた (0点)
- あまりできなかった (1点)
- 明らかにできなかった(2点)
- 全くできなかった(3点)
②物事を楽しみにして待った
- いつもと同様にできた(0点)
- あまりできなかった(1点)
- 明らかにできなかった(2点)
- 全くできなかった(3点)
③物事がうまくいかなかった時、自分を不必要に責めた。
- いいえ、全くそうではなかった (0点)
- いいえ、あまり度々ではなかった (1点)
- はい、時々そうだった (2点)
- はい、たいていそうだった (3点)
④はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配したりした。
- いいえ、そうではなかった (0点)
- ほとんどそうではなかった (1点)
- はい、時々あった (2点)
- はい、しょっちゅうあった (3点)
⑤はっきりとした理由もないのに恐怖に襲われた。
- いいえ、そうではなかった (0点)
- ほとんどそうではなかった (1点)
- はい、時々あった (2点)
- はい、しょっちゅうあった (3点)
⑥することがたくさんあって大変だった。
- いいえ、普段通りに対処した (0点)
- いいえ、たいていうまく対処した (1点)
- はい、いつものようにうまく対処できなかった (2点)
- はい、たいてい対処できなかった (3点)
⑦不幸せな気分なので、眠りにくかった。
- いいえ、全くそうではなかった (0点)
- いいえ、あまり度々ではなかった (1点)
- はい、時々そうだった (2点)
- はい、ほとんどいつもそうだった (3点)
⑧悲しくなったり、惨めになったりした。
- いいえ、全くそうではなかった (0点)
- いいえ、あまり度々ではなかった (1点)
- はい、かなりしばしばそうだった (2点)
- はい、たいていそうだった (3点)
⑨不幸せな気分だったので、泣いていた。
- いいえ、全くそうではなかった (0点)
- いいえ、あまり度々ではなかった (1点)
- はい、時々そうだった (2点)
- はい、ほとんどいつもそうだった (3点)
⑩自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた。
- いいえ、全くそうではなかった (0点)
- そう多くはなかった (1点)
- 時々あった (2点)
- はい、かなりしょっちゅうあった (3点)
点数の評価について
合計点が高いほど、産後うつの可能性が高まります。
一般的には、9点以上で産後うつが疑われ、専門機関への相談が推奨されます。
特に、10番目の「自分自身を傷つける考え」の項目に「はい」と答えた場合は、点数に関わらず速やかに医療機関を受診してください。
EPDS以外の一般的な産後うつ症状チェックリスト
EPDSの項目以外にも、以下のような症状がないかご自身で確認してみてください。
精神的な症状
- 常に気分が落ち込んでいる、悲しい気持ちが続く
- 何をしていても楽しめない、興味がわかない
- 理由もなく涙が出る、涙もろくなる
- 自分を責めてしまう、自己肯定感が低い
- 無気力感があり、家事や育児にやる気が起きない
- 育児や赤ちゃんに対して、愛情を感じられない、興味が持てない
- 赤ちゃんをかわいいと思えない、世話が辛いと感じる
- イライラしやすくなった、怒りっぽい
- 強い不安感や焦燥感がある
- 孤独感や周囲との疎外感を強く感じる
- 自分や赤ちゃんを傷つけることについて考えてしまう(緊急度が高い)
- 集中力がなくなり、判断が鈍る
身体的な症状
- 極度の疲労感、体が重く感じる、だるさ
- 睡眠の変化(眠れない、または寝すぎる)
- 食欲の変化(食べ過ぎる、または食欲不振)
- 頭痛や胃の不調など、身体的な不調が頻繁に起こる
行動や思考の変化
- 家事や育児の優先順位がつけられなくなる
- 身だしなみを整えることに無関心になる
- 外出するのが億劫になる、人との交流を避けるようになる
- 家族や友人とのコミュニケーションが減る
- 現実と異なることを信じてしまう、幻覚や妄想がある(緊急度が高い)
マタニティブルーとの違い
産後うつの症状は、産後2週間以上続く場合に疑われます。
出産後3〜5日をピークに現れる「マタニティブルー」は、ホルモンバランスの変化による一時的な気分の落ち込みであり、通常は産後1〜2週間で自然に落ち着きます。
2週間以上つらい症状が続く場合は、産後うつの可能性が高いです。
産後うつは珍しい病気ではない
産後うつは、決して珍しいことではなく、適切なケアと治療で改善できる病気です。
ご自身を責めず、早めに助けを求めることが回復への第一歩となります。
おかしいと思ったら
休む、完璧を目指さない、助けを求める、相談する
ということを実践してみてください。
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